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タカラ物産株式会社のある朝、実家がお酒の蔵元である池田さんが、実家から送られてきた新酒を石橋部長に持ってきた。お酒が大好きな部長は、喜びつつも池田さんの発言「うちの母親が、これを部長さんに飲んでもらいたいということで送ってきました」を聞いて苦笑い。

犬山くん

えーと、まず上司に対して、自分のお母さんのことを「母親」と言ってもいいのかな?


小秋先生

「お母さん」というよりはマシね。友だちや親しい先輩、同僚と話すときには、使ってもいいかもしれないわ。でも、改まった場面や上司や外部の人と話すような時には「母」といった方がいいわよ。


犬山くん

なるほど。部長に対しては、「うちの母が」と言った方がいいんだね。あと「これを部長さんに飲んでもらいたい」だけど、これも何かひっかかるよ。


小秋先生

敬語を使っていないからじゃないかしら。池田さんのお母さんは多分、「これを部長さんに飲んでもらいたいから、あんた、会社に持っていきなさい」なんて言ったんでしょうね。で、池田さんはそれをそのまま部長に伝えてしまったと。


犬山くん

部長と話しているのにそれはおかしいよね。


小秋先生

そうよね。では、まず「これを部長さんに飲んでもらいたい」の部分を正しい言い方に直してみましょう。


犬山くん

まず「部長さん」がおかしいよね。「部長」などの役職名はそれだけで敬称になるから、「さん」や「様」はつけなくてもいいんだ。


小秋先生

そうね。では、他にどこがおかしいかしら?


犬山くん

「飲んでもらいたい」がおかしいよね。敬語を使ってないから。えーと、「飲んでもらいたい」は敬語でどういうんだっけ?「飲んでもらう」のは池田さんのお母さんだよね。上司との関係では、家族は自分と同じように扱うのが敬語のルールだったっけ。


小秋先生

ええ。上の人と話すときは、自分の身内についてのことは謙譲語で言うのよね。


犬山くん

「もらう」の謙譲語は「いただく」だ。だから「飲んでもらいたい」は「飲んでいただきたい」かな?


小秋先生

うーん、そうねえ。間違いではないけれど、もう少し丁寧な言い方の方がいいわね。「飲んで」の部分も敬語に直してみてくれる?


犬山くん

「飲む」のは部長だから尊敬語にしなきゃいけないよね。「飲む」の尊敬語は 「お飲みになる」だ。


小秋先生

そうそう。あと、「召し上がる」も使えるわよ。「召し上がる」は上の人の「食べる」「飲む」を表すことができる敬語なのよ。「部長がお酒を召し上がる」というように使うの。


犬山くん

そうか、召し上がるは「食べる」だけじゃなくて「飲む」の尊敬語としても使えるんだね。


小秋先生

そうなのよ。さて、では「これを部長さんに飲んでもらいたい」を正しい表現にしたものを、通して言ってみてくれる?


犬山くん

「これを部長にお飲みになっていただきたい」「これを部長に召し上がっていただきたい」だね!


小秋先生

正解。さて、池田さんの発言には、他にもおかしなところがあるんだけど、分かる?


犬山くん

「送ってきました」だね。部長に対しては、もっと改まった言い方をしたほうがいいなあ。「お送りいただいた」かな?


小秋先生

いいえ。それでは、部長の前で自分の母親を立てて言うことになっちゃうわよ。


犬山くん

あ、そうか。「お送りいただく」は自分が上の人から物を送ってもらうことを言う謙譲語だっけ。じゃあ、「お送りした」かな?


小秋先生

それも違うわね。「お送りする」は自分が目上の人に送ることを言う謙譲語よ。送り先は池田さんだったんだから、「母は私にお送りした」ということになって、自分を立てることになってしまうわ。


犬山くん

あれ?じゃあどうすればいいの?


小秋先生

そういう場合は「きた」だけを改まった言い方にすればいいのよ。


犬山くん

「きた」の改まった言い方は「参った」だね。「送って参りました」かな。


小秋先生

そう!では、全部通して言ってみてくれる?


犬山くん

「母が、これを部長に召し上がっていただきたいということで送って参りました」これで完璧だね!

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