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昼食後、社にもどった山本くんと上司の西川課長が雑談しています。ベストセラーの『デキる男の仕事術』をもう読んだか課長にたずねようと、山本くんが「課長もこの本を拝読されましたか?」と発言。ちゃんと敬語を使ったのに、なぜか課長はけげんな顔をしています。どうして?

小秋先生

「拝読されましたか」って…困ったわねえ。山本くんは、仕事はできるのに敬語はほんとにダメね。


犬山くん

何で?ちゃんと敬語を使っているじゃない。山本くんは、上司に対して「読みましたか」では失礼だと思ったから「拝読されましたか」って言ってるんでしょ。


小秋先生

そうね。ちゃんと敬語を使おうとしている、その努力は認めるわ。でも「拝読する」は、自分が目上の人に何かを読ませてもらった時に使う言葉なのよね。「課長からお借りした本を拝読しました」とか、「先生からいただたいたお手紙を拝読しました」とかね。


犬山くん

げっ、もしかして謙譲語?じゃあ上の人の「読む」を「拝読」って言っちゃダメだね。てっきり、偉い人が読むことを「拝読」と言うんだと思っていたよ。「課長が拝読している新聞は何ですか?」とかね。


小秋先生

違うのよね。「拝読」は「ありがたく読ませてもらう」という意味なの。「読ませていただきます、ハハーッ!」と、上に手をさしのべているところをイメージすると、分かりやすいと思うわ。


犬山くん

そうなんだね。じゃ、上の人が何かを読むことは、何ていうの?


小秋先生

「お読みになる」か「読まれる」よ。


犬山くん

「課長もお読みになりましたか」「課長も読まれましたか」が正解なんだね。


小秋先生

そうそう。そして、「お読みになる」と「読まれる」を比べた場合、「お読みになる」の方が、より丁寧な言い方なのよ。だから、上司が何か読むということについて言う場合、「読まれる」より、「お読みになる」といった方がいいかもしれないわ。


犬山くん

ふうん、同じ「読む」の敬語でも、丁寧さに違いがあるんだね。


小秋先生

そうよ。「読まれる」のように「れる」で終わるものは、そうでないものに比べて、尊敬をあらわす度合いが少し軽いとされているの。


犬山くん

そうなのかあ。じゃ、西川課長に「読みました?」ってたずねるときは、「読まれましたか?」で十分だね。


小秋先生

犬山くんは西川課長に何かうらみでもあるのかしら?


犬山くん

まあ色々だね。ところで、ついでにこれも確認しておきたいんだけどいいかな?あのね、山本くんが「僕は、昨日本を買って読んだ」ということを課長に言うとするよね。


小秋先生

ええ。


犬山くん

その場合も「拝読する」を使った方がいいの?「僕は、昨日本を買って拝読しました」というふうに。


小秋先生

いいえ、そこで「拝読する」を使うのはおかしいわ。「拝読する」は、読ませてもらうことだから、使うのは、相手のものを読むときだけよ。相手の本とか文章とかね。


犬山くん

そういえば、さっき、「課長からお借りした本を拝読しました」とか、「先生からいただたいたお手紙を拝読しました」という具体例を挙げていたね。


小秋先生

ええ、自分のものを読んだことを上の人に言う時に、「拝読する」は使えないから気をつけてね。自分の本を読んだと言うときは、「読みました」でいいのよ。「僕は、昨日本を買って読みました」とね。


犬山くん

なるほどなあ。「拝読する」を使うのは、上の人のものを読ませてもらうときだけだね。わかったよ!


小秋先生

あ、そうそう。ちなみに、「拝見」(見る)、「拝聴」(聞く)、「拝借」(借りる)など、他にも「拝」がつく敬語はあるけれど、それらの使い方も、「拝読」と同じだから気をつけてね!


犬山くん

「御社のホームページを拝見しました」(あなたの会社のホームページを見ました)、「部長のお話を拝聴し、感動いたしました」(部長の話を聞いて感動しました)、「課長、この書類をちょっと拝借いたします」(課長、この書類をちょっと借ります)、という感じかな?


小秋先生

そう!よくできたわね。

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