Question
目上の人にメールや手紙を送るときに、「返信を待っている」という意味の言葉を最後に一言つけたいのですが、何かいい敬語表現はありませんか?(S様)
Answer
まず「返信を待っている」を、そのまま敬語に変換してみましょう。
「返信」これは目上の方の行為なので、「ご」をつけて「ご返信」とするのが適切です。
「待っている」は「待つ」と「いる」に分解して考えましょう。
「待つ」は、自分がすることですから、「謙譲語」にする必要があります。謙譲語は、目上の人に対して自分のことをへりくだって言う表現です。
「待つ」の謙譲語は、「お待ちする」「お待ちいたす」「お待ち申し上げる」です。
「いる」の謙譲語は「おる」です。これらを合成して、丁寧語「ます」を付けると、「お待ちしております」「お待ちいたしております」「お待ち申し上げております」となります。
ということで、目上の方への手紙やメールに「返信を待っている」を敬語変換して書く場合、
「ご返信をお待ちしております」
「ご返信をお待ちいたしております」
「ご返信をお待ち申し上げております」
となります。
ただ問題は、「待っている」と適切なのかという点ですね。
というのは、相手に「待ってます」と告げることは、相手が返信をくれるのが当然という前提に立っていることになるからです。
返信をもらうのが当然の場面、例えば相手が約束の原稿の締め切りに遅れているとか、借金返済の期限が過ぎているとかいう事情がある場合は、「ご返信をお待ちしております」と書いていいと思います。
しかし、こちらが目上の人に一方的にお願いごとをしているという場合はどうでしょうか?
例えば、何かの専門家の方に、貴重な資料を貸してほしいとか、意見を聞かせてほしいというお願いの手紙やメールを送る場合です。
この場合、相手がその頼みを聞いてくれるかどうかは分かりません。そのような場面では、たとえ敬語であろうと「返信を待っている」ということを伝えるのは、厚かましいような気がします。
よってこの場合は、「待っています」ではなく、突然のお願いで恐縮だという旨を伝えた上で、「もし聞き入れてもらえるなら、返事をもらえたらうれしいです」という意味のことを書くのが無難かと思います。
敬語にすると
「もしご承諾いただけるようでしたら、ご返信いただけましたら幸いです」
などとなります。
なお、「ご返信いただく」は、目上の相手から「返信をもらう」ことを言う謙譲語です。
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