石橋部長との打ち合わせで西川課長のピンチを救った山本くん。西川課長にお昼をおごってもらうことになり、近所のラーメン屋「風花」をリクエスト。そこの新メニューを課長はもう食べたかどうか聞こうとして「課長、新メニューの高菜とんこつラーメン、もういただかれましたか?」と言ったのだが、課長はなぜかけげんな顔。
おごってやるって言ったのに、ラーメンでいいなんて言われてプライドが傷ついたんじゃない?
いやいや、西川課長ってケチで評判なんでしょ?だから…って、敬語の話だったわね。
あ、そうだった。山本くん、間違ってるよね。「食べる」の尊敬語は「召し上がる」。「いただかれましたか」じゃなくて「召し上がりましたか」だよね。
そうそう。「いただく」は、「食べる」の謙譲語。自分が目上の人に何かをごちそうになった時に使う言葉なのよね。
例えば、「部長のお土産のお菓子をおいしくいただきました」という具合だね。
そう。山本くんは謙譲語「いただく」に「れる」をつけて「いただかれる」と尊敬語っぽく言ってるけど、それでもダメなのよ。
そういえば、「食べる」に「れる」をつけた「食べられる」っていう尊敬語があるよね。それを使って、「課長はもう食べられましたか」というのはOKなの?。
そうねえ。ちょっとくだけた表現ねえ。
「れる」で終わる尊敬語は、丁寧さの度合いが少し落ちるんだったね。
そうそう。「食べる」の尊敬語でいうと、「召し上がる」が最も改まった表現で、次が「お食べになる」、その次が「食べられる」よ。よその会社の人やお客、それから上司の「食べる」については、「召し上がる」「お食べになる」を使うよう心がけた方がいいわね。
じゃあ、いちおう西川課長にも「召し上がる」「お食べになる」を使った方がいいのかな?
そうねえ。でも、西川課長は山本くんと仲良くしたいみたいだから、「召し上がる」を使うと、「俺との間に距離をおこうとしているのか?」って不安にさせてしまうかも。
なるほど。丁寧にするってことは、距離をおくことでもあるんだね。
ええ。だから、あえて「食べられる」を使って、親しみを表現してあげたほうが喜ばれるかもしれないわ。
敬語って、使い方ひとつで人との距離まで変えることができるんだなあ。
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