取引先のもみじ銀行を訪問中のタカラ物産の王くん。今日の自社主催のパーティーについてもみじ銀行の鈴木支店長から「残念ながら私は欠席させていただきますが、株式会社○○の佐藤さんによろしく伝えてください。」と言われた。王くんは元気よく、「かしこまりました。佐藤様にそのように申し伝えておきます」と言ったが、支店長は微妙な表情。どうして?
よその会社の人から、自分の会社の人への電話を受けて「伝言しておきます」と言う場合は「申し伝えます」でいいんだったよね。
そう、電話の宛先が自分の上司、たとえ社長であっても「申し伝えます」よ。「お伝えします」と言うと、他社の人の前で、自分の会社の人を丁寧に扱ってしまうことになるのでね。
今回の王くんみたいに、よその会社の人から、よその会社の人に伝言する場合はどうなるの?
伝える相手が目上の人だから、謙譲語を使って「お伝えいたします」というのが適切よ。
じゃあ「申し伝えます」は、まずいよね。
そうねえ。「申し伝えます」は、目上の人の言うことを自分の身内に伝える時の表現だからね。伝言先の佐藤さんは取引先の人で、目上にあたるからまずいわね。
なんだか「お伝えします」と「申し伝えます」の使い分けがわからなくなってきたよ。
いちど整理してみましょうか。パターンは3つよ。まず、伝言を頼んだ人も伝言先の人も目上の人という場合はどうかしら?例えば、今回の王くんのような場合や、上司の奥さんから上司への伝言を頼まれた場合など。
「お伝えいたします」だね。伝言先の相手が目上の人にあたるから。王くんは、「佐藤様にお伝えしておきます」と言わなければいけなかったんだ。
正解!じゃあ次、伝言を頼んだ人が目上の人、伝言先の人は伝言を頼んだ人より下の人という場合は?例えば、取引先から自社の人間への伝言を頼まれた、部長から課長への伝言を頼まれたなど。
伝言を頼んだ人が最も目上という場合だね。この場合、伝言先の人を丁寧に扱うのはまずい。だから「申し伝えます」だ。「鈴木様からお電話があったと課長の服部に申し伝えておきます」という具合だね。
そうね。では、伝言を頼んだ人が自分と同じか下の人、伝言先の人が目上の人という場合はどうかしら。例えば、同僚から上司への伝言を頼まれた、など。
伝言先の人が一番えらい場合かあ。「お伝えします」だね。外出中の同僚から部長への伝言を頼まれて、「わかりました! 部長にお伝えしておきます」てな感じかな。あれ?結局、伝言先の人の位置づけによって決まってくるのか。
そうね。伝言先の人を目上の人と扱っていい場合は「お伝えします」でOKよ。
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