
パーティーの準備の合間にアルバイトの面接をする店長の中山さん。「アルバイトの面接へのお申し込みありがとうございます。ご持参していただいた履歴書をお出しいただけますか?それからこちらの書類にご記入してください。」と、やってきたアルバイト希望者にテキパキと伝えるのだが、さて、アルバイトのお手本となるべき店長がそれでいいのか?

アルバイトの面接希望者にも敬語を使った方がいいのかなあ。

採用されるまでは社外の人ですからね。取引先の人などに接するときと同様の敬語づかいをするのがふさわしいわ。

じゃあ、その点中山さんの応対は適切だね。ただ、敬語は間違ってるけど。「ご持参していただいた」「ご記入してください」はおかしいよね。

ええ。「持ってきてもらう」を謙譲語にするなら「ご持参いただく」よ。「ご持参していただく」は誤った敬語なの。「して」が余分なのよね。

「ご記入してください」も「して」が余分かな?「記入してください」の尊敬語は「ご記入ください」だよね。

そうそう。これもやはり「して」が余分なのよね。

中山さんは、正しくは「ご持参いただいた履歴書をお出しいただけますか?それからこちらの書類にご記入ください。」と言わなければならなかったんだね。それにしても「ご~いただく」とか「ご~くださる」とか、ややこしいなあ。

「いただく」は謙譲語。自分が下に立って、ハハーッと手を上に差し出して何かをもらうイメージよ。他方、「くださる」は尊敬語。目上の相手が上から下に何かを差し出しているところを想像すればわかりやすいんじゃないかしら。

なるほど!ところで前から気になっていたんだけどさあ。

何かしら?

「申す」は自分の「言う」、「参る」は自分の「行く」「来る」をあらわす言葉だよねえ。

そうね。

じゃあ、「申し込み」「持参する」を目上の人について使っちゃ、だめなんじゃないの?

あ、それは大丈夫。「申し込み」「持参する」の「申」「参」には、謙譲語としての働きはないと一般的に考えられているのよ。

へえー。じゃあ「お申し込みありがとうございます」「筆記用具をご持参ください」なんて、目上の人に言ったりしても失礼じゃないんだね。

ええ。でも、どうしても気持ち悪いなと思う場合は、「申し込み」を「応募」に、「持参する」を「持ってくる」に置きかえ、それを尊敬語にしてもいいわね。

「ご応募ありがとうございます」「筆記用具をお持ちください」か、なるほどね!
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