Question
業務委託の仕事をしています。完成したファイルを発注者に納品するのですが、その際のメールに「理解できない点があったら言ってください」という旨のことを書きたいと思います。エクセルの数式が少しややこしくて、先方が理解するのは難しいと思われますので。
つきましてお伺いしたいのですが、メールに「理解できない点がございましたらおっしゃってください」と書いてもよろしいでしょうか。
あったら→ございましたら
言ってください→おっしゃってください
と敬語に変換してみました。
問題は「理解できない」のところです。「ご理解おできにならない」とすると、なんだか相手をばかにしているようですし、かといってそのままでは失礼な気がします。
Answer
発注者さんへのメールに「理解できない点があったら言ってください」という意味のことを書きたいけれど、敬語表現で悩んでいるというご相談ですね。
「あったら言ってください」を敬語に変換して、「ございましたらおっしゃってください」としている点は適切です。
問題は「理解できない」ですね。
そのままでは失礼というのはおっしゃる通りです。敬語が使われていません。
しかし、敬語に変換して「ご理解おできにならない」とすると相手をばかにしているようだというのもおっしゃる通り。むしろ、失礼度がより高まっている印象すらあります。
では、どうすればよいのでしょうか。
ここは、「理解できない」という表現を根本的に変えてしまいましょう。というのは、敬意をあらわしながら、相手のできる・できないを問題にするのは難しいからです。
文化庁の「敬語の指針」には、敬語を使うべきとされる相手(上司やよその会社の人など)の能力を測るような問いかけは、問題があるとされています。
参考:文化庁の「敬語の指針」(平成19年2月2日 文化審議会答申)「4 能力などを直接尋ねることの問題」(PDF)
ざっくり言うと、目上の人に「~できますか?」と聞いたり、「~できないことがあれば」と条件を付けたりするのは、例え敬語として正しくてもやめた方が無難ということです。
ということで、「理解できない」を敬語に変換することはあきらめ、別の表現を考える必要がありますね。
もっとも無難なのは、ビジネス文書の定型句「ご不明な」を使うことです。
「ご不明な点がございましたらおっしゃってください」
「分からない」を使うという手もあります。ただ、「分からない点がございましたら」というと、やはり相手の能力を問題にしている響きがあります。そこで、「分かりにくい」を使いましょう。あくまでもこちら側の資料や伝え方の問題だという印象を与えることができます。
「分かりにくい」は、敬語に変換すると「お分かりになりにくい」です。ちなみにですが、「お分かりにくい」ではない点にご注意ください。
「お分かりになりにくい点がございましたらおっしゃってください」
あるいは、相手が理解できない=自分の説明が足りないと考えて、こういう言い方もありかもしれません。
「ご説明が不足している点がございましたらおっしゃってください」
敬語に変換しても何やら失礼な印象があるという場合、元の言葉が目上の人やよその人に向ける言葉として不適切である可能性があります。
その場合は、同じ意味や似た意味の言葉に置き換えて、敬語に変換してみてください。
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