
Question

相手の「〇〇したい」は敬語でどう言いますか?
派遣先の企業で複数の部署にまたがって仕事をしており、部署間の連絡係のような役割をすることがあります。例えば、互いのスケジュールを調整したり、営業さんの要望をシステム担当さんに伝えたりという感じです。
伝達事項に「〇〇したいですか?」という問いかけが含まれる場合、それをもう一方の相手にそのまま伝えてもよいものでしょうか。例えばこんな感じです。
システム担当の人:「データベースを軽くしたいんですが、営業さんは何年前のデータまで抽出したいですか?って聞いていただけますか」
私がこれを営業の人に伝えるとき、「したい」を敬語にしなければ失礼な気がします。しかし適切な言い方が分からなくて困っています。
Answer

相手の「したい」という意向を敬語でどう言い換えるかは、なかなか難しい問題です。
以下、例として挙げていただいたシステム担当さんの発言
「データベースを軽くしたいんですが、営業さんのところは何年前のデータまで抽出したいですか?って聞いていただけますか」
をどう敬語に変換すればいいかを考えてみます。
まず、「って聞いていただけますか」は、システム担当さんから質問者様に向けられた依頼ですので、営業さんに言う必要はありません。
代わりに、システム担当さんから質問を受けているということを営業さんに伝える必要があります。まずは発言をそのまま引用し、やりやすいところだけを敬語にしてみましょう。
ただ、質問者さんは、「〇〇したい」を敬語にしたいとお考えです。「軽くしたい」のはシステムさん、「抽出したい」のは営業さんなので、どちらのお相手にも失礼がないようにしようと思うと、敬語を使う必要がありますよね。
その際、発言の引用のままでは変ですので、「 」は取って伝聞の形にします。
「する」の尊敬語は「なさる」です。この場合の「軽くしたい」「抽出したい」を単純に敬語変換すると上のようになります。
しかし、「なさる」が連続してちょっとくどいですね。そして、そもそもですが「抽出したいですか?」をそのまま敬語にしている点に問題があります。
というのは、敬語を使うような相手に対して、「したいですか?」と願望を直接たずねることは失礼という考え方があるからです。この問題を避けるためには、「したい」を使わない、別の表現に置き換えるという方法があります。
システムさんからご質問です。データベースを軽くなさりたいとのことなのですが、営業さんは何年前のデータまで抽出なさいますか?
システムさんからご質問です。データベースを軽くなさりたいとのことですが、営業さんは何年前のデータまでご入り用でしょうか?
案1は「なさる」の連続でくどいので、「軽くしたい」の敬語を少し変えましょう。「する」の敬語には「される」もあります。「なさる」よりは敬意をあらわす度合いが軽いのですが、システムさんはその場にいないのでよしとします。
システムさんも敬語を使う相手なのに、「したい」を使っていいのか?という疑問があるかもしれませんが、直接問いかける場面ではないので、セーフとしましょう。
ただ、相手に何かを依頼するときの古風な言い方に「されたい」というものがあります(例:「巻末の参考文献を参照されたい」など)。営業さんが「え?うちにデータベースを軽くしてほしいってシステムさんが言ってるの?」と混乱するかもしれません。
よって、ここも「したい」を外しましょう。
いかがでしょうか?さて、ここまでご説明してきたポイントをまとめますと以下のようになります。
相手に「したいですか?」と願望を尋ねるのは敬語を使っても失礼だと考えられることがある
その場合、「したい」を外すか、別の表現に置き換えて敬語にする
例)「抽出したいですか?」→「抽出なさいますか?」「ご入用でしょうか?」など
敬語を使う相手に「したいですか?」と聞きたいときの参考になれば幸いです。
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