Question
業務委託契約をある会社と結んでいるのですが、その業務に関連して、契約外なのかどうかの判断が微妙な要求をされています。
今後の関係を考えると引き受けた方がいいのですが、時間的に無理なので断りたいです。
「できない」という意味のことをやんわりと伝える言い方はないですか?
Answer
お客様に「できない」という意味のことをやんわり伝えたいとき、どう言えばいいかというご質問です。敬語やビジネスシーンでよく使われる言い回しを使った「できない」の言い方を考えてみましょう。
お客様に「できない」という意味のことをやんわり伝えたいとき、どう言えばいいかというご質問です。敬語やビジネスシーンでよく使われる言い回しを使った「できない」の言い方を考えてみましょう。
まず考えられるのは、「できない」を「です・ます体」を使った「できません」に変更することですが、これではあまりにも素っ気ないですね。
質問者様の置かれた「今後の関係を考えると引き受けた方がいい」という状況からも、ぴしゃりと拒絶するのは得策ではないと思われます。
そこで、「いたしかねます」の出番です。「いたす」は「する」の謙譲語、「~かねる」は「そうしたいのだけどもできない事情がある」という意味の言葉です。「~かねる」敬語ではないのですが、「〇〇できない」を丁寧に言うとき動詞にくっつけて使われます。
ただ、「今回のご依頼はいたしかねます」などと言うと、日本語が不自由な感じになってしまいますので、「いたしかねます」の前に何かを補う必要がありそうです。
思うに、質問者様がお客様に伝えたい「できない」は、「対応できない」「受けられない」「引き受けられない」と言い換えることができるでしょう。これらを敬語に変換し、「~かねる」を組み合わせて、
「ご対応いたしかねます」
「お受けいたしかねます」
「お引き受けいたしかねます」
とするのはいかがでしょうか。
実際にお客様に伝える際には、「恐れ入りますが」などの「クッション言葉」を前置きし、できない理由と謝罪を盛り込むことになります。
以上をふまえ、「お引き受けいたしかねます」を使った断りの文例を考えてみました。
恐れ入りますが、ご契約の際にご提示申し上げた稼働時間からしますと、この度のご依頼についてはお引き受けいたしかねます。ご希望に添えず大変心苦しいのですが、何とぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。
「契約外なのかどうかの判断が微妙」というお話でしたので、「契約内の作業にかかる時間はそちらも把握していましたよねえ?」という確認を盛り込みつつ、断ってみました。
「~かねます」の部分がやんわりしていなくて、カドが立つかなあ?思われる場合は、「~かねるというのが現状です」のように、ぼかした言い方にするという手もあります。
恐れ入りますが、ご契約の際にご提示申し上げた稼働時間からしますと、この度のご依頼についてはお引き受けいたしかねるというのが弊社の現状となります。ご希望に添えず大変心苦しいのですが、何とぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。
というところで以上、お客様に「できない」という意味のことをやんわり伝えたいとき、どう言えばいいかというご質問への回答でした。
御社のご事情に合わせて、メールなどでご活用いただけましたら幸いです。
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