
営業の王くんは、自社が主催するパーティー会場で、出席者のみなさんのお酒がとぎれていないか気をくばっている。取引銀行の松下さんのグラスが空になりそうだったので、すかさずビールをつぎに行き、「もう少しビールをお飲みになりたいですか?」と言った。すると松下さんはムッとした顔を。タイミングはカンペキだったのに、なぜ?

松下さんは手酌派なんだよ、きっと。おかわりを注ぐタイミングは自分で決めたいんだ。

意外にいけるクチの犬山くんならではの分析ね。確かにそうかもしれないけど、この場合は王くんの発言が問題なんじゃないかしら?

敬語がおかしいってこと?「お飲みになりたいですか」は、敬語として間違ってないよね?

ええ。目上の人が「飲む」ことをあらわす尊敬語「お飲みになる」をちゃんと使っているわ。敬語には問題ないわよ。

だとすると、問題は何なの?

そのあとの「たいですか?」が問題よ。これはマナーの話になってしまうんだけど、目上の人に対して「したいこと」を直接たずねるのは失礼とされているの。

へえー。じゃ、松下さんは、王くんが勝手にビールを注ごうとしたからではなく、「飲みたいか?」と聞かれたから、ムッとしたのかもしれないんだね。

ええ、もちろん目上の人みんなが不愉快に思うわけではないとは思うけど、「~したいですか?」という問いかけはしないほうが無難だということをおぼえておいてね。

じゃあ、目上の人に飲み物をすすめるときはどういえばいいの?

「お飲みになりませんか?」「召し上がりませんか?」が適切よ。

「もう少しビールをお飲みになりませんか?」「もう少しビールを召し上がりませんか?」だね。

そう、「ませんか?」と誘いかける表現にするのがポイントよ。あと、表現を変えて「○○をいかがですか?」ということもできるわ。

「もう少しビールはいかがですか?」だね。

そう!では、応用編、いってみましょうか。料理をすすめる場合はどうか、「お寿司」を例にやってみてくれる?

「お寿司はいかがですか?」だよね。あと、料理は「食べる」ものだから「食べる」の尊敬語「召し上がる」を使って「お寿司を召し上がりませんか?」とも言える。

正解!タバコの場合は?

簡単!「タバコをお吸いになりませんか?」「タバコはいかがですか?」だよ!これで接待の席も怖くないね。
- 10問のクイズでビジネス敬語力をスピードチェック > ビジネス敬語力診断テスト
- ビジネス敬語にまつわる疑問はサクッと解消 > ビジネス敬語お悩みQ&A
- オフィスでよくある場面ごとにビジネス敬語のトレーニング > シーン別実践ビジネス敬語