![テレワークの継続と発熱時の出社禁止を伝えるメールを送る](https://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/telework-3.png)
総務課の服部課長は、課員の岡田さんに文面の作成を依頼します。そこで岡田さんが作った文の一部がこちら。
「テレワークの継続にご協力してください。」
「発熱がある場合は、出社しないでください。」
これらの文は、服部課長から不適切だと指摘され、やり直しを命じられてしまいました。さて、どこがいけなかったのでしょうか?小秋先生と犬山君にチェックしてもらいましょう。
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
総務課の岡田さんが、全社員に向けたメールを書いたんだけど、服部課長に駄目出しをくらって悩んでいるよ。
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
何を伝えるメールなの?
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
テレワーク継続のお願いなんだ。服部課長は、岡田さんにこう言ったんだ。「テレワーク継続に協力してね、特に熱がある人は来ないでね、ということを皆さんにメールで周知してくれませんか」
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
なるほどね。それで、岡田さんはどんな文面を書いたの?
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
「テレワークの継続にご協力してください」「発熱がある場合は、出社しないでください」だって。
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
ああ、そりゃ駄目出しも無理はないわ。まず、一つ目の文だけど、犬山君はどこがおかしいか分かる?
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
えーっとね。「ご協力してください」の部分。この場合「ご協力ください」が適切な敬語表現だよ。「して」が余分なんだ。
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
正解。こういった社内文書では、周知をする側を「内」、宛先となる社員のみんなを「外」ととらえて、何かをお願いする場合は尊敬語を用いるのが適切なのよね。岡田さんもその点は分かっていたみたい。
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
でも、尊敬語の作り方で間違ってしまったようだ。「ご協力してください」は、「協力する」を「ご~する」という謙譲表現の型にあてはめて、「~ください」というお願いの表現をくっつけてしまったおかしな日本語だね。
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
そうそう。「外」の人がすることに謙譲語を使ってはいけないわ。この場合は、「協力する」を尊敬語の型「ご~くださる」に当てはめた上で、お願いの形にして「ご協力ください」とするのが適切よ。
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
「理解する」「了承する」「着用する」なんかの、漢語を使った動詞で表される動作をお願いするときには、同じような間違いをしがちだから要注意だね。
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
ええ。これらを尊敬語の型にあてはめて、お願いの形にすると、「ご理解ください」「ご了承ください」「ご着用ください」となるわ。さて、これで一つ目の文の問題が解決したわね。次の文はどうかしら?
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
二つ目は、「発熱がある場合は、出社しないでください」。これはそもそも尊敬語を使ってないよね。
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
問題外ね。尊敬語を使った表現に変換してくれる?
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
えーっと「ご発熱がおありの場合は、出社なさらないでください」かな。でも何かぎょうぎょうしいね、これ。
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
うーん、丁寧な感じは伝わってくるけどね。ビジネス文書、しかも社内向けだしもっと簡潔でいいわ。前半は「発熱がある場合は」のままでいいわよ。
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
えっ、そうなの?
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
ええ。この文で強調したいのは「来ないでね」という部分だから、前半はシンプルな方が望ましいと思うの。それに、後半を尊敬語で締めれば、失礼には響かないわ。
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
なるほどなあ。じゃ二文目は「発熱がある場合は、出社なさらないでください」でOKってことだね。
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
うーん、「出社なさらないでください」は確かに尊敬語として正しいんだけど、お願いしている度合いが高いというか。今回のように、お願いの形をとってはいるんだけど、実質一方的な通達である場合には一般的ではないわね。
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
じゃ、軽めの尊敬語を使って「出社されないでください」とか?
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
それはおかしな日本語だわね。「~れる」を使った軽めの尊敬語+「~ください」は使わない方がいいわよ。
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
じゃあどうすればいいのさ。
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
解決策としては、元の文を別の表現に置き換えて、それを尊敬語に変換することね。この二文目の後半の場合は、「出社しないでください」を「出社を控えてください」に置き換えてみましょう。
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
そして「出社を控えてください」を尊敬語に変換すればいいんだね。えーと、「出社をお控えください」かな。
![小秋先生](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-koaki.png)
正解!「控える」を尊敬語の型「お~くださる」に当てはめた上で、お願いの形にして「お控えください」とするのが適切よ。
![犬山くん](http://bizkeigo.koakishiki.com/wp/wp-content/uploads/chara-inuyama.png)
通して言うと、「発熱がある場合は、出社をお控えください」か。これでシンプルかつ丁寧な文になったね。
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