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タカラ物産では、従業員のテレワークを推進中です。ある日、総務課では全社員に向けてテレワーク継続のお願いのメールを送ることになりました。

総務課の服部課長は、課員の岡田さんに文面の作成を依頼します。そこで岡田さんが作った文の一部がこちら。

「テレワークの継続にご協力してください。」
「発熱がある場合は、出社しないでください。」

これらの文は、服部課長から不適切だと指摘され、やり直しを命じられてしまいました。さて、どこがいけなかったのでしょうか?小秋先生と犬山君にチェックしてもらいましょう。

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犬山くん

総務課の岡田さんが、全社員に向けたメールを書いたんだけど、服部課長に駄目出しをくらって悩んでいるよ。

小秋先生

何を伝えるメールなの?

犬山くん

テレワーク継続のお願いなんだ。服部課長は、岡田さんにこう言ったんだ。「テレワーク継続に協力してね、特に熱がある人は来ないでね、ということを皆さんにメールで周知してくれませんか」

小秋先生

なるほどね。それで、岡田さんはどんな文面を書いたの?

犬山くん

「テレワークの継続にご協力してください」「発熱がある場合は、出社しないでください」だって。

小秋先生

ああ、そりゃ駄目出しも無理はないわ。まず、一つ目の文だけど、犬山君はどこがおかしいか分かる?

犬山くん

えーっとね。「ご協力してください」の部分。この場合「ご協力ください」が適切な敬語表現だよ。「して」が余分なんだ。

小秋先生

正解。こういった社内文書では、周知をする側を「内」、宛先となる社員のみんなを「外」ととらえて、何かをお願いする場合は尊敬語を用いるのが適切なのよね。岡田さんもその点は分かっていたみたい。

犬山くん

でも、尊敬語の作り方で間違ってしまったようだ。「ご協力してください」は、「協力する」を「ご~する」という謙譲表現の型にあてはめて、「~ください」というお願いの表現をくっつけてしまったおかしな日本語だね。

小秋先生

そうそう。「外」の人がすることに謙譲語を使ってはいけないわ。この場合は、「協力する」を尊敬語の型「ご~くださる」に当てはめた上で、お願いの形にして「ご協力ください」とするのが適切よ。

犬山くん

「理解する」「了承する」「着用する」なんかの、漢語を使った動詞で表される動作をお願いするときには、同じような間違いをしがちだから要注意だね。

小秋先生

ええ。これらを尊敬語の型にあてはめて、お願いの形にすると、「ご理解ください」「ご了承ください」「ご着用ください」となるわ。さて、これで一つ目の文の問題が解決したわね。次の文はどうかしら?

犬山くん

二つ目は、「発熱がある場合は、出社しないでください」。これはそもそも尊敬語を使ってないよね。

小秋先生

問題外ね。尊敬語を使った表現に変換してくれる?

犬山くん

えーっと「ご発熱がおありの場合は、出社なさらないでください」かな。でも何かぎょうぎょうしいね、これ。

小秋先生

うーん、丁寧な感じは伝わってくるけどね。ビジネス文書、しかも社内向けだしもっと簡潔でいいわ。前半は「発熱がある場合は」のままでいいわよ。

犬山くん

えっ、そうなの?

小秋先生

ええ。この文で強調したいのは「来ないでね」という部分だから、前半はシンプルな方が望ましいと思うの。それに、後半を尊敬語で締めれば、失礼には響かないわ。

犬山くん

なるほどなあ。じゃ二文目は「発熱がある場合は、出社なさらないでください」でOKってことだね。

小秋先生

うーん、「出社なさらないでください」は確かに尊敬語として正しいんだけど、お願いしている度合いが高いというか。今回のように、お願いの形をとってはいるんだけど、実質一方的な通達である場合には一般的ではないわね。

犬山くん

じゃ、軽めの尊敬語を使って「出社されないでください」とか?

小秋先生

それはおかしな日本語だわね。「~れる」を使った軽めの尊敬語+「~ください」は使わない方がいいわよ。

犬山くん

じゃあどうすればいいのさ。

小秋先生

解決策としては、元の文を別の表現に置き換えて、それを尊敬語に変換することね。この二文目の後半の場合は、「出社しないでください」を「出社を控えてください」に置き換えてみましょう。

犬山くん

そして「出社を控えてください」を尊敬語に変換すればいいんだね。えーと、「出社をお控えください」かな。

小秋先生

正解!「控える」を尊敬語の型「お~くださる」に当てはめた上で、お願いの形にして「お控えください」とするのが適切よ。

犬山くん

通して言うと、「発熱がある場合は、出社をお控えください」か。これでシンプルかつ丁寧な文になったね。

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