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敬語「ご足労」の正しい使い方をマスターしましょう。

管理職を含め、可能な限り在宅勤務が推奨されているタカラ物産。しかし、まだ書類にハンコを押すという習慣が残っており、その度に石橋部長はわざわざ出社しなければなりません。

それを心苦しく思った山本君は、印鑑の電子データ化をしようと考え、石橋部長にメールを送りました。しかしメールを読んだ石橋部長は苦笑い。どうして?

犬山くん

山本くんが部長へのメールで「ご足労」なんて社会人らしい言葉を使っているよ。ずいぶん進歩したものだなあ。でも、部長は微妙な顔をしている。

小秋先生

山本君は、メールになんて書いたの?

犬山くん

えとね、山本君は、部長がわざわざ出社しなくてもいいように、紙の書類にハンコを押す業務をなくそうとしているんだ。文面はこうだよ。

部長がわざわざご足労になることがないように、印鑑の電子データ化について調査中です」

小秋先生

うーん、言わんとしているところは分かるけど、惜しいわね。

犬山くん

どうして?目上の人が来ることを敬語で「ご足労になる」って言うんじゃないの?

小秋先生

確かに、「ご足労」は、目上の人が「来る」ことを表す敬語だけどね。「ご足労になる」という使い方はしないの。

犬山くん

えっ、そうなの?

小秋先生

ええ。「ご足労をおかけする」「ご足労いただく」というように、来てもらう側の立場から表現するのが一般的よ。

犬山くん

そうだったのか。石橋部長が苦笑していたのは、山本君のメールの「ご足労になることがないように」という部分だったんだね。

小秋先生

そうそう。山本君のメールを添削すると「部長にわざわざご足労をおかけすることがないように」「部長にわざわざご足労いただくことがないように」となるわ。

犬山くん

なるほどなあ。目上の人の「来る」の敬語というよりも、「いただく」「をおかけする」とセットで「来てもらう」の敬語と考えた方がいいのかな。

小秋先生

そうね。あと「ご足労」は、「行ってもらう」の敬語としても使われるわ。例えば、上司にどこかに出張してもらうという場合よ。

犬山くん

「プレゼンのために部長に本社までご足労いただいた」と言う感じかな?来てもらうにしても、行ってもらうにしても、話し手側の都合で目上の人が移動することを言うんだね。

小秋先生

そう!いいところに気がついたわね。目上の人の「来る」は敬語で「いらっしゃる」「お越しになる」だけど、それらと同じように使うことはできないから気をつけてね。

犬山くん

よくわかったよ。まとめると、

  • 「ご足労」は目上の人が話し手側の都合で移動してもらう場合に使う敬語
  • 「ご足労いただく」「ご足労をおかけする」などと使う
  • 「ご足労になる」という使い方をしないことに注意

だね。

小秋先生

そうね。山本君のメールの問題の箇所を書き直すと

部長にわざわざご足労いただくことがないように、印鑑の電子データ化について調査中です。

となるわ。

犬山くん

ねえねえ、ところでふと思ったんだけどさ。

小秋先生

何かしら。

犬山くん

タカラ物産は、テレワーク推奨になって何カ月もたってるよね。それなのに、いまだに上の方から印鑑の電子データ化の話が出てなかったってことは、石橋部長は実は出社したい派で、山本君の提案は余計なお世話ってことは考えられないだろうか。

小秋先生

考えすぎだと思うけど、まあその場合、「ご足労」は使い方が正しかろうが間違っていようが嫌味ってことになるわね。

犬山くん

あちゃー。ま、山本君は天然てことで許されそうだから大丈夫かな。

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