HOME > メール・電話の敬語 その1 > * 2 取引先の人に「来てください」とお願いする

2 取引先の人が「来る」際の案内をする

2 取引先の人が「来る」際の案内をする

自社への訪問を希望する取引先の渡辺さんに対して「当社へ参られる際には、地下鉄が便利です」と案内をする山本くん。山本くんの発言を聞いて、たまりかねた服部課長は…

犬山君 来るのは取引先の渡辺さんだよね。目上の人が「来る」ことを「参る」って言っていいの?
小秋先生 ダメよ。「参る」は自分の「行く」「来る」をあらたまって言うときに使う謙譲語だもの。ちなみに、「れる」を付けて尊敬語っぽく「参られる」としてもダメよ。
犬山君 ふうん。「参る」も「来る」の謙譲語なのかあ。「私は明日9時にここに参ります」という具合に使うのかな?
小秋先生 そうそう。「行く」という意味で使うなら「明日9時に御社まで参ります」という感じよ。
犬山君 そういえば、「行く」の謙譲語には「うかがう」もあるって話だったけど、「参る」と「うかがう」はどう違うの?
小秋先生 「うかがう」は、「目上の人のところを訪問する」というときにしか使えないけど、「参る」は、自分側の人間の「行く」「来る」をあらたまって言うときにはいつでも使えるわ。
犬山君 えーと、どういうことかなあ。
小秋先生 たとえば、お客さんと自分の上司の出張について話すような場面を考えるとわかりやすいわね。「来月、部長の石橋はパリに参ります」とは言えても、「部長の石橋はパリにうかがいます」とは言えないわけよ。パリは目上の人ではないからね。
犬山君 なるほど!そういう違いがあるんだね
小秋先生 ちなみにだけど、「うかがう」は「聞く」の謙譲語でもあるのよ。自分が相手の話を聞かせてもらうときに使うのよ。
犬山君 「部長のお話をうかがいました」って感じかな。
小秋先生 そう。さて、話を「参られる」に戻すわね。犬山くん、「当社へ参られる際には」を正しく直してみてくれる?
犬山君 「当社へ来る際には」と言う意味のことを言いたいんだよね。「来る」のはよその会社の渡辺さんだから、「来る」を尊敬語で言わなきゃいけないんだ。「来る」の尊敬語は「いらっしゃる」だよね。「当社へいらっしゃる際には」これでOKだね。 
小秋先生 正解!でも、「来る」の尊敬語は「いらっしゃる」だけではなかったわね。「来る」の尊敬語には、他になにがあったかしら?
犬山君 「来られる」があったよね。「当社へ来られる際には」。これはどう?
小秋先生 うーん、敬語としては間違いではないけれど、「れる」がついた尊敬語は、ていねいさが少し落ちるのよね。よほど仲がいい取引先の人というのでない限り、使わないほうがいいわ。
犬山君 じゃあ、今回は使わない方がいいね。今日初めて話す人だもの。えーと、「来る」の尊敬語には、他に何があったっけ?
小秋先生 「おこしになる」があるわ。
犬山君 あ、そうか!「当社へおこしになる際には」だね。
小秋先生 そう、あと「おこしの際には」でもいいわよ。
犬山君 ということは、「当社へ来る際には」の尊敬語を使った言い方には、「当社へいらっしゃる際には」「当社へおこしになる際には」「当社へおこしの際には」の3つがあるんだね。どれがいちばんいいのかなあ。
小秋先生 そうねえ、ていねいなのは「当社へいらっしゃる際には」「当社へおこしになる際には」だけど、仕事の場面では「当社へおこしの際には」がスマートでいいかな。何より言いやすいしね。
犬山君 よし、「当社へおこしの際には」、とりあえず、これを押さえておくぞ!

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