4 同僚に「お客様を案内してください」とお願いする

3時に会う約束をしている取引先の渡辺さんがやってきたと、後輩である受付の女性から連絡を受けた山本くん。応接室に渡辺さんを案内してくれるよう頼んだのだが、何か自分でも違和感があるようです。さて、どこがおかしい?
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えーっと、「案内する」のは山本くんの後輩の女の子、つまり同じ会社の人だから、「案内する」は謙譲語を使って言っていいんだよね? |
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そうね。お客さんである渡辺さんとの関係では、自分の会社の人は身内扱いするのよね。 |
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でも、「ご案内してさしあげる」っておかしくない?「ご案内する」がすでに謙譲語でしょ? |
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そうね。 |
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そこにさらに「てさしあげる」がついてるなんて、過剰な敬語じゃないの?だから山本くんは自分でもおかしいなって思ったんじゃないかなあ。「渡辺さんをご案内してください」でいいんじゃないの? |
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ええ、もちろん、それでもいいわよ。ただ、「ご案内してさしあげる」は、「案内してあげる」の「案内する」を「ご案内する」に、「あげる」を「さしあげる」というふうにそれぞれ謙譲語にしたもので、正しい敬語表現よ。これを敬語の連結というの。 |
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へえー、敬語の連結っていうのかあ。じゃ、「お客様をご案内してさしあげる」と言ってもいいんだね。でも、「ご案内してさしあげてください」って、くどいよね。舌をかみそう。 |
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そうね、間違いではないけれど、「してさしあげてください」は確かにくどいわね。「ご案内してさしあげなさい」ならいいけど、「ください」という丁寧なお願いの表現にする場合は、「ご案内してください」のほうがスッキリしていいかもしれないわね。 |
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「ご案内ください」ではダメなの? |
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「ご案内ください」は「案内する」の尊敬語なのよ。上司に言うならいいけれど、後輩に「ご案内ください」というのは不自然ね。 |
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そうか。「ご案内ください」は尊敬語なのか!でも、「ご案内してください」と「ご案内ください」・・・うーん、なんだかややこしいなあ。 |
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「して」が入っているのが謙譲語よ。 |
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「ご案内してください」が謙譲語。身内の人に、目上の人の案内をお願いするときにはそう言えばいいんだね。「お客様を応接室にご案内してください」という感じかな。 |
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そうそう。 |
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で、もう一度「ご案内してさしあげる」の確認だけど、それ自体は正しい謙譲語なんだね。 |
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ええ、でも、「してください」をつけて「ご案内してさしあげてください」とやっちゃうとくどくなるので、お願いの表現にする場合は、「ご案内してください」の方が、スッキリしていいかなという話だったわね。 |
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「ご案内してさしあげる」のように、敬語が連結したものって他にもあるの? |
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ええ、「お読みになっていらっしゃる」「お読みになってくださる」「お読みになっていただく」などがそうよ。 |
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まず、「読んでいる」の「読む」を「お読みになる」、「いる」を、「いらっしゃる」というふうにそれぞれ尊敬語にして、「お読みになっていらっしゃる」という敬語の連結のできあがり。これを使って「先生が本をお読みになっていらっしゃる」。うん、違和感ないね。 |
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次に、「お読みになってくださる」は、「読んでくれる」の「読む」と「くれる」を、それぞれ尊敬語「お読みになる」と「くださる」にしたものよ。「先生が、私が書いた本をお読みになってくださった」と言う具合に使うの。 |
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あと、「お読みになっていただく」は「読んでもらう」の「読む」を尊敬語「お読みになる」に、「もらう」を謙譲語「いただく」にしたものだね。これは「お読みになっていただけますか?」というふうに使えばいいのかな?なるほど、敬語の連結は、よりていねいにものを言いたいときに便利なんだな。 |
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そう。上位の人が何かをしていることを「お〜ていらっしゃる」、何かをしてくれることを「お〜してくださる」、自分が上位の人に何かをしてもらうことを「お〜していただく」という表現は、通常の敬語表現では丁重さが足りないな、というときに便利だから憶えておいてね。 |

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