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タカラ物産グループ系列のレストランのひとつ「すみれ庵」で開かれるパーティーに出席予定のすみれ銀行の支店長から、少し遅れるという電話があった。電話を受けた金さんは、それを、パーティーの準備のためにすでにお店に来ていた本部の石橋部長に「すみれ銀行の支店長様が遅れて参られるそうです」と伝える。石橋部長は、今夜のことを思って不安そうだが、どうして?

犬山くん

取引銀行の支店長の「来る」を「参られる」って言っちゃ、まずいよね。


小秋先生

そうね。正しくは?


犬山くん

「来る」の尊敬語「いらっしゃる」「お越しになる」「お見えになる」を使うんじゃないのかなあ。


小秋先生

そうそう、金さんは、「遅れていらっしゃるそうです」「遅れてお越しになるそうです」「遅れてお見えになるそうです」って言わなきゃいけなかったのよね。じゃ、ここで質問。「参る」って何だったかしら?


犬山くん

自分や自分の身内の人が「来る」ことを、目上の人に対して言う謙譲語だよ。「佐藤様、恐れ入りますが、社長の小林は少々遅れて参ります。」っていう具合に使うんだ。


小秋先生

犬山くん、よくマスターしてるわね!「参る」は自分や自分の身内について使う。「お客さんが参られる」というと、そのつもりはなくても「お客さんがこの偉い私のところにやってくる」と言ったことになってしまうの。


犬山くん

お前は何様だ!って怒られてしまうよね。


小秋先生

そう、だから気をつけましょうね。さて、金さんの発言には、もう1点おかしなところがあるんだけど、どこかわかるかしら?


犬山くん

何だろう…あ、「支店長様」だ!


小秋先生

そう、支店長、社長、部長などの役職名は、それだけで相手を敬う呼び名になるので、「様」をつける必要がないのよね。


犬山くん

でも、「すみれ銀行の支店長が…」っていうと、偉そうじゃない?


小秋先生

うん、それは確かにそうなのよね。なので、職場によっては「役職名+様」で呼ぶのが習慣になっているから、その場合は無理せず「支店長様」「社長様」といっても構わないと思うわ。


犬山くん

あ、一人だけ違う言葉づかいをしていたら、仲間はずれにされるかもしれないって話だったよね。


小秋先生

そうそう。それに受け手の問題もあるわ。これまでずっと「支店長様」「社長様」と言っていた取引先の人が、ある日突然「支店長」「社長」と言ったら、どう思うかしら?


犬山くん

「あれ?何で急に態度変わったの?」って、不安になったり頭に来たりするかもね。


小秋先生

そうなのよね。言葉づかい一つで、相手の印象はガラッと変わってしまうの。そして、やっかいなのは、正しい敬語が最も丁寧に聞こえるというわけではないということなのよね。


犬山くん

それでも「支店長様」って言いたくないときはどうすればいいのかなあ。


小秋先生

一番いいのは、名前を覚えておいて、例えば、「すみれ銀行の上田支店長が」「支店長の上田様が」と言うことね。


犬山くん

なるほどなあ。電話を受けたときには名前をしっかり確認しておく必要があるんだね。


小秋先生

そう!相手としっかりした関係を持とうと思ったら、名前をおぼえておくことは必要よ。名前をおぼえていないことは、残念ながら敬語でカバーできるものではないということを、頭に入れておいてね。

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