目上の人にものをあげたり、その人からものをもらったり。そんな場面で重宝する、「与える」「受け取る」に関する動詞の敬語変換を、いっしょに勉強していきましょう。
目上の人から「受け取る」
「与える」「もらう」を敬語に変換してみましょう。目上の人が何かを「与えてくれる」ことを、尊敬語を使って「くださる」といいます。
例 「先生が、貴重なご本をくださった」
この営みを、立場を変えて自分側から見ると、「もらう」「受け取る」となりますが、これらを敬語に変換すると「いただく」となります。「いただく」は「食べる」の謙譲語であるだけでなく、「もらう」「受け取る」の謙譲語でもあるんですね。
例 「先生から、貴重なご本をいただいた」
「もらう」「受け取る」のさらに丁寧な表現としては、「賜る(たまわる)」「頂戴する(ちょうだいする)」もあります。
例1「先生から、貴重なご本を賜った」
例2「先生から、貴重なご本を頂戴した」
目上の人に「与える」
自分から目上の人に何かを与えることを、「差し上げる(さしあげる)」といいます。「あげる」は「与える」のあらたまった言い方ではありますが、目上の人に対して使うと失礼になりますので、気をつけてくださいね。
例「珍しい本を見つけたので、先生に差し上げた」
反対に、目上の「受け取る」という行為を敬語に変換すると、どうなるでしょうか。「受け取る」の尊敬語は「お受け取りになる」です。
例 「窓口で書類をお受け取りになってください」
ただ、「お受け取りになる」は、この例のように事務的な場面では適切ですが、自分が選んだものを相手が「受け取ってくれる」という喜びのニュアンスをも表すには、適切ではないかもしれません。そのような場合は「受け取ってくれる」を敬語に変換した「受け取ってくださる」「お受け取りくださる」を使うとよいでしょう。
例1「先生は、私が見つけた本を受け取ってくださった」
例2「先生は、私が見つけた本をお受け取りくださった」
「与える」「受け取る」の敬語変換まとめ
- 目上の人が自分に何かを与えてくれることを敬語で「くださる」と言う
- 自分が「受け取る」「もらう」ことは「いただく」「頂戴する」「賜る」
- 自分が目上の人に何かを与えることは、敬語で「差し上げる」
- 目上の人に「あげる」と言ってはいけない
- 「受け取る」の尊敬語は「お受け取りになる」
基本の動詞等の敬語変換
基本形 | 尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 |
---|---|---|---|
言う | おっしゃる、言われる | 申し上げる | 言います |
聞く | お聞きになる、聞かれる | 伺う、お聞きする、拝聴する | 聞きます |
見る | ご覧になる、見られる | 拝見する、お見せいただく | 見ます |
行く | いらっしゃる、行かれる | 参る、伺う | 行きます |
来る | いらっしゃる、お越しになる、お見えになる、来られる | 参る、伺う | 来ます |
いる | いらっしゃる | おる | います |
食べる | 召しあがる、食べられる | いただく | 食べます |
与える(あげる) | お与えになる、くださる | 差し上げる | あげます |
受け取る(もらう) | お受け取りになる | いただく、賜る、頂戴する | もらいます |
利用する | ご利用になる、利用なさる、ご利用だ、利用される | 利用いたす | 利用します |
接頭語 | 御(お/おん/ご)、貴、尊 | 弊、小、拙 | – |
その他の動詞の敬語変換
基本形 | 尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 |
---|---|---|---|
着ける | お着けになる、着けられる | お着けいたす、お着けする | 着けます |
着用する | ご着用になる、着用なさる、着用される | 着用いたす | 着用します |
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